このページでは、これまでRINGNEの教育プログラムを受講した方が、臨床で実践しているモデルケースを紹介します。

モデル①訪問看護ステーション所長

基礎エコーコース/エコーを用いた排泄ケアコース:初級、中級、上級コース修了
えそら訪問看護ステーション 管理者 篠崎順様

当ステーションでは排泄ケアコースについて、管理者兼看護師である私が上級コースまでを受講し指導者認定証、他2名の看護師が中級コースまでを受講し、修了証を頂きました。エコーの知識や技術が全くない状態で排泄ケアコース(膀胱観察と大腸観察の講習)を受講させて頂きました。Eラーニングでは、エコーの概論から病態生理の基本的知識、実際の使用方法、観察方法をとても効率的に学ぶことが出来ました。

写真やイラストも多数掲載されており、具体的なイメージを持ちながら受講することが出来ました。技術講習会でもエコーの当て方から走査方 法、何が観察出来ているかまで事細かに教えて頂き、抵抗なくエコーを使用することが出来ました。

指導者認定(上級コース)のため症例を重ねていく上でも、疑問に思ったことについて講師に質問が出来たことで、不安なく進めていくことが出来ました。特に在宅の場では、可視化できる機器が限られており、現場の看護師がアセスメントを行う際にも非常に有用性があると感じました。当ステーションのスタッフからも、受講したことでエコーがより身近に感じ、今後アセスメントの一つとして活用していきたいとの要望も受けています。

今後、他のコースについても受講をすすめ、エコーを在宅の現場に導入していきたいと考えております。

モデル②クリニック 皮膚・排泄ケア認定看護師

基礎エコーコース/エコーを用いた排泄ケアコース:初級、中級、上級コース修了
医療法人社団守一会 北美原クリニック
中村深雪様

クリニックでは医師が往診も行っており、WOCNとして褥瘡やストーマのケアの際には同行して、在宅でのケアを行っております。コンチネンス分野として排泄ケアにもかかわりたいと思っていたため、今回排泄ケアコースを受講させて頂きました。

Eラーニングで事前学習をして受講することで、実際の講習会でもスムーズに理解することができました。指導者認定の際にはメールなどでその都度、画像が描写できているか確認することもでき、症例を重ねていくことで、観察する目が養われていくことを実感することができました。

修了後、在宅で便秘と下痢を繰り返す患者さんに対して、エコーによる大腸観察から便秘の種類と原因を推定することで、病態に沿った適切な排便ケアを提供することができ、排便障害の改善につなげることができました。ご家族からは「観察してもらって良かった、安心しました。」との言葉をいただくことができました。実際にエコー画像を使用した可視化に基づく指導ができたことで、ご家族の理解につながったと思います。エコーでの観察は簡便で、非侵襲的に安全に実施することができるため、在宅や施設において、排泄ケアのアセスメントツールの一つとして、今後も活用していきたいと思っています。

モデル③訪問看護ステーション所長

基礎エコーコース/エコーを用いた排泄ケアコース:初級、中級、上級コース修了
保坂明美様

こんにちは、訪問看護ステーションフレンズ、所長の保坂です。これまでの看護師によるフィジカルアセスメントでは、体内が見えないことが当たり前でしたが、エコーを使うことで可視化できるようになります。可視化する事が看護ケアの質を上げると感じています。慣れるまでは上手くいかずイライラすることもありました。でも、手技が上達してくると膀胱や腎臓、そして大腸がよく見えてきます。見えなかったものが見えるようになることでスッキリする方も多いのではないでしょうか。

うまく画像が描出できるようになり、見えてくると、例えば大腸のどこにどんな性状の便がどれだけたまっているのかもアセスメント出来るようになってきます。これまで腸蠕動音や触診などからしかわからなかった情報が得られることで、ケア前は今日どれくらい排出できると良いのか、ケア後はどれくらい便が残っているのかといったこともアセスメントできるようになり、その後も排便の予測にもつながります。

また、膀胱の観察では残尿があることやその原因もアセスメントできるようになってきます。残尿が多い場合は尿が逆流して水腎症もあるのではないか?と疑い観察できるようにもなります。水腎症があれば主治医にも報告する必要が出てくるでしょう。その時に根拠となる画像を共有できるのがエコーの強みだと思います。また、エコー画像は療養者本人やその家族とも共有することができます。これまでなかなか説得できなかったケアの提案も、画像を見せることで納得してくれるようになったと感じています。

当初は所長である私だけがエコーを使っていましたが、今では私以外のスタッフ11名も教育プログラムを修了し、エコー技術を習得しました。実際の療養者で尿や便の観察ができたときには「見えたー」と感動の声があがっています。スタッフたちのアセスメント能力が向上した反面、2台しかないエコー機器を交代で使うことに苦労している部分もあります。訪問看護師ひとりひとりが血圧計や聴診器のようにエコーを持てるようになり、可視化というフィジカルアセスメントが当たり前の日々が早く訪れることを切に願っております。

「看護業務の効率化先進事例アワード2020」受賞

上記のようなエコーを用いた取組みによって、保坂様は、公益社団法人日本看護協会による「看護業務の効率化先進事例アワード2020」で最優秀賞を受賞されました(日本看護協会へのリンク)。